サーモスタットの交換の見積もりをとって、金額の高さに驚いたことはありませんか?
サーモスタットは車の中でも馴染みが薄い部品であり、修理や交換にかかる金額の相場がわかりにくいものです。
実はサーモスタット自体は2000円程度と、そう値段の張るパーツではありません。
しかし、サーモスタットは交換するのにかかる工賃がかさむため、見積もり金額が高くなりやすいのです。
もちろんプロに依頼する場合に工賃がかかるのは当たり前のことですが、少しでも安くしたいと考えるのもまた、当たり前のこと。
この記事では、工賃を抑えつつサーモスタット交換を依頼できる方法に加えて、サーモスタットの交換時期や、故障した際の症状を解説。
さらには、工賃ゼロで交換できるDIY交換の方法まで伝授します。
この記事を読んでいただければ、自分に合った選択肢で、お得にサーモスタット交換をする方法を知ることができます。
サーモスタットの交換費用は3,000円〜3万円
まずは一般的なサーモスタットの交換費用からご紹介します。
サーモスタットを交換する際の選択肢、およびそれぞれの相場は、以下の通りです。
選択肢 | 費用相場 |
ディーラー カー用品店 |
1~3万円 |
整備工場 | 7,000円~2万円 |
自分で作業 (DIY) |
3,000円~1万円 |
業者に依頼する場合と自分でDIY交換する場合では、かかる費用が異なります。
業者に依頼すると工賃がかかる分、プロに任せられるので安心感があります。
DIY交換なら手間はかかりますが、費用が部品代だけで安く交換することが可能です。
それぞれの選択肢について、詳しく見ていきましょう。
ディーラーやカー用品店に依頼する場合は1〜3万円
ディーラーやカー用品店に依頼する場合にかかる費用は、1〜3万円が目安です。
内訳は以下の通りです。
項目 | 金額 |
サーモスタット代※ | 2,000円〜1万円 |
ガスケット代 | 〜1,000円 |
冷却水代 | 1,000〜3,000円 |
工賃 | 5,000円〜2万円 |
※ほとんどの国産車では2,000〜3,000円。輸入車などは1万円することも
交換費用が高くなりやすいディーラーですが、「安心して任せやすい」というメリットもあります。
ディーラーで使われる純正パーツは高価なものの安全性が高いため、安心感に関してはディーラーの方が高いと言えるでしょう。
ディーラーはメーカーの看板を背負った業者であることから、ずさんな対応をされる心配もありません。
カー用品店には作業場が用意されており、こちらでサーモスタットを交換してもらうことも可能です。
実際に一部のオートバックスやジェームスでは、サーモスタットの交換を実施しています。
対応していない店舗もあるため、事前に問い合わせてから行くと安心です。
ディーラーとカー用品店は、工賃に関しては大きな差がありません。
しかしカー用品店には、「社外パーツを使用できる」というディーラーにはない強みがあります。
社外パーツは純正パーツよりも安いため、部品代が抑えられ、カー用品店はディーラーよりも交換費用が安くなります。
安心を優先させたい方はディーラー、交換費用を安く済ませたい方はカー用品店がおすすめです。
整備工場に依頼する場合は7,000円〜 2万円
なるべく安くプロの整備士に依頼したいのであれば、民間の整備工場で交換してもらいましょう。
整備工場に依頼する場合にかかる費用は、7,000〜20,000円です。
内訳は以下の通りです。
項目 | 金額 |
サーモスタット代※ | 2,000円〜1万円 |
ガスケット代 | 〜1,000円 |
冷却水代 | 1,000〜3,000円 |
工賃 | 3,000円〜1万円 |
※サーモスタット代はほとんどが2,000〜3,000円。輸入車などは1万円することも
民間の整備工場には、ディーラーやカー用品店よりもさらに交換費用が安くなりやすいというメリットがあります。
理由は大きく分けて2つ。1つは、純正パーツよりも安い社外パーツを修理に使用できるため。
もう1つは、レバーレートを安くできるためです。
レバーレートとは、1時間あたりの工賃単価のことで、ディーラーやカー用品店よりも整備工場の方が安く設定される傾向にあります。
レバーレートは各工場ごとに自由に設定でき、工場の規模や経営方針によって金額が決められています。
規模が大きく、整備士をたくさん雇用しているような工場だと、それだけ多くの経費がかかります。
そのため、レバーレートも高くしなければ経営が回りません。
一方、そこまで大規模でない工場なら経費を少なく抑えられるので、レバーレートも安くできるのです。
レバーレートが高い工場と安い工場では、工賃が2倍近く変わることもあります。
社外パーツを修理に利用できる上、レバーレートも安いことから、交換費用がより安くなりやすいのが整備工場です。
サーモスタット交換を安くしたいのであれば、整備工場に依頼することを強くおすすめします。
自分で作業する場合は3,000円〜1万円
サーモスタットの交換を自分で作業(DIY)する最大のメリットは、安く済ませられること。
プロに頼まずに自分で作業すれば工賃がかからないため、費用は部品代の3,000~1万円だけで済みます。
サーモスタット本体とガスケットは、数千円程度で購入可能です。
冷却水は車種によって種類や量が変わりますが、こちらも1,000〜3,000円ほどで入手できます。
冷却水の量は、基本的に軽自動車で約5リットル、普通自動車で約10リットルもあれば十分足りる場合がほとんどです。
サーモスタットの交換作業自体は、それほど難しいものではありません。
しかし車種によっては、エンジンルームの奥まったところにサーモスタットがあるケースも。
この場合、サーモスタット周辺の違う部品を取り外して作業スペースを確保する手間が発生します。
エンジンルームのどこにサーモスタットがあるのかを確認して、DIYでもできそうかを判断するのがよいでしょう。
詳しいDIYでの交換方法は後ほど解説します。
サーモスタットの交換時期は10年・10万キロが目安
サーモスタットは使用開始から10年、もしくは走行距離が10万キロに達した頃の交換が推奨されています。
ただし、車の使用環境によって、交換目安の時期は変わります。
商用車やトラックなどの多くの荷物を積載する車は、エンジンの温度が上昇しやすいという特徴があります。
そのためサーモスタットの消耗が早く、寿命も短くなる傾向にあります。
交換目安の時期になって故障していなかったとしても、サーモスタットは車の心臓部であるエンジンの不具合に関わるため、予防整備として交換するのがおすすめ。
また、サーモスタット交換の際には、エンジン部品のひとつであるタイミングベルトを取り外す必要があります。
このタイミングベルトの交換時期も10年、もしくは10万キロとされています。
そのため、サーモスタットとタイミングベルトが両方故障しているという場合でなくとも、一方を交換する際には他方を同時にまとめて交換するのがおすすめです。
サーモスタットが故障したときの症状
そもそもサーモスタットとは、冷却水をラジエーターに流す/流さないを切り替える弁のことです。
ラジエーターに流す冷却水を調整することで、エンジンの温度を適温に保っています。
サーモスタットの故障は、弁が「閉じっぱなし」または「開きっぱなし」のまま固着してしまうことで発生します。
そうなると、エンジンが熱くなりすぎたり、冷たくなりすぎたりして車のさまざまな場所に不調を引き起こします。
具体的な症状については、以下で詳しく解説します。
サーモスタットが閉じっぱなしだとオーバーヒートに
サーモスタットが閉じっぱなしになると、オーバーヒートを引き起こす原因になります。
オーバーヒートとは、エンジンが過度に熱くなりすぎている状態のことです。
閉じっぱなしだと、冷却水がラジエーターを通れなくなり、高温のままになります。
その結果、エンジンの周辺を高温の冷却水が循環し続け、エンジンの温度が上昇してオーバーヒートを引き起こすのです。
オーバーヒートになると、異音や異臭を発したり、ボンネットから白煙が出たりします。
最終的には、走行不能状態や車両火災を引き起こすケースも。
水温計が115℃以上になっている場合は、オーバーヒートを引き起こしている可能性が高いので、注意しましょう。
サーモスタットが開きっぱなしだとオーバークールに
サーモスタットが開きっぱなしになっていると、オーバークールを引き起こす可能性があります。
オーバークールとは、エンジンが温まらなかったり、冷たくなりすぎていたりする状態のことです。
サーモスタットが開きっぱなしになると、冷たい冷却水が常にエンジンの周りを循環し続けます。
その結果エンジンが温まりにくくなり、車に以下のような症状を発生させます。
- 暖房が効かない
- 水温計の値が低い
- エンジンにダメージが蓄積する
- 燃費が悪くなる
水温計が70℃以下を示している場合は、オーバークールを疑いましょう。
オーバークールは、オーバーヒートのようにすぐさま大きな事故を引き起こすものではありません。
とはいえ快適な走行が難しくなるため、以上の症状が見られたら早めに点検を行いましょう。
サーモスタットをDIYで交換する方法
車に詳しい方や修理の腕に自信がある方は、サーモスタットをDIYで交換することも可能です。
DIYで行えば、業者に依頼するより安く済ませられるでしょう。
DIYで交換する際は、作業に邪魔な部品があったら都度取り外しながら作業してください。
また、車種や症状、故障の状況によっても修理の細かい手順が異なってくるケースがあります。
そのため、個別のケースに応じた手順や工具によって臨機応変に対応する必要がある点についても覚えておきましょう。
以下からは、サーモスタットをDIYで交換する方法について解説していきます。
準備
修理を始める際は、整備にふさわしい安全な場所を確保してください。
開始前に、必要なものを揃えましょう。最低限必要となる主なアイテムは、以下の通りです。
- サーモスタット※
- サーモスタットにつけるパッキン※
- ドレンコックのパッキン※
- 冷却水
- 古い冷却水を受けるためのバケツなど
- ろうと、じょうご、ペットボトルなど
- ソケットレンチ(10mmまたは12mm)
- その他工具類
「※」がついている3つについては、新品を用意します。特にパッキン類の再利用は厳禁です。
ろうとなどは、冷却水の出し入れをしやすくするために使います。
サーモスタットを交換する前の下準備として、以下の3つを行います。
- 冷却水が冷めるのを待つ
- コックを緩めて冷却水を抜く
- ドレンコックについているパッキンを交換する
まず初めに、安全に作業できるよう、エンジンルームや冷却水が冷めるのを待ちましょう。
エンジンを止めた直後は、エンジンルームの各パーツや、冷却水は非常に高温です。
そのため冷めていない状態で行うと、火傷するリスクがあります。
水温計をチェックし、過度に熱くなっていないかを確認してください。
冷却水が冷めたらボンネットを開け、ラジエーターの冷却水コックを緩めて、冷却水を抜きましょう。
出てきた冷却水は素手で触らず、トレイなどで受けてください。冷却水は毒物のため、下水に流さないよう気をつけましょう。
全て出し終えたら、ドレンコックについているパッキンを新品に替え、しっかりと締めてください。
もしサーモスタットハウジングへのアプローチを阻むパーツがある場合は、外しておきます。
こうしたパーツを外す工程は、多くの車種で大変になりやすい傾向にあり、車種や状況によって必要な工具も異なります。
「よくわからない」と感じた方は、安全のためプロに依頼するのがおすすめです。
サーモスタット交換
続いて、以下の順番でサーモスタットの交換を行っていきましょう。
- ロアホースのエンジン側を外す
- サーモスタットハウジングのボルトを外す
- ハウジング、サーモスタット、ガスケットの順で取り外す
- 新品のガスケットを取り付け、サーモスタットを取り付ける
ラジエーターからはアッパーホースとロアホースという2本の太いゴム状のホースが伸びています。
このうちロアホースのエンジン側を外します。
ホースはホースバンドで固定されているので、ペンチなどでバンドをずらせば引き抜くことができます。
ホースが固着していてなかなか抜けない場合は、ホースとパイプの間をマイナスドライバーなどで隙間を作ってあげるとよいでしょう。
次に、サーモスタットハウジングのボルトを外します。
ボルトは、10mmか12mmの六角ボルトであるケースがほとんどです。
その後、ハウジング、サーモスタット、ガスケットの順で取り外しましょう。
そして新品のガスケットを取り付け、サーモスタットを取り付けてください。
サーモスタット取り付けの際は、エア抜き用の穴の位置をもともとついていたサーモスタットと同じにすることを意識しましょう。
外した部品の組み付け
取り外した時とは逆の順番で、外した部品を組み付けていきます。
パイプを取り付けるときは、2本のボルトを均等に締めることを意識してください。
閉まり具合に偏りがあると、隙間が生まれて水漏れする可能性があるためです。
冷却水を補充する
最初に抜いた分の冷却水を以下の手順に沿って補充します。
- ラジエーターキャップを開けて冷却水を注ぐ
- リザーバータンクへも補充する
- エア抜きを行う
ドレンコックがしっかり締まっていることを確認してから、ラジエーターキャップを開けてろうとなどを利用して冷却水を注いでいきます。
注入口いっぱいまで補充できたら、リザーバータンクも上限目盛りまで補充します。
車種により必要な冷却水の量が変わりますが、基本的には軽自動車で約5リットル、普通車で約10リットルあれば十分足ります。
補充が終わったら、エア抜きを行います。
冷却水の経路内に空気が入っていると、冷却水がうまく循環できずオーバーヒートしてしまう可能性があります。
冷却水の入れ替えを伴う作業を行ったあとは、必ずエア抜きをしましょう。
エア抜きは、サービスマニュアルの内容にしたがって行うようにしてください。
各種チェック
しっかりと交換できたか確認するために、作業が終わったら以下の点についてチェックしましょう。
- 暖気運転後、水温計は正常な値を示しているか
- 暖房は効くか
- 冷却水の量は正常か
上記の点について特に異常が見られなければ、交換は問題なく行われています。
冷却系統全体が消耗しているなら廃車も検討する
サーモスタットだけでなく冷却系統の部品全般に言えますが、1つのパーツのみの交換ではなく、関連するパーツを同時に交換する方がメリットは多くなります。
というのも、サーモスタットが故障した場合、他の冷却系統のパーツも故障目前であることがほとんどのため。
同時交換を行わないと、交換の直後に違うパーツが故障し、何度も修理を行うことになる可能性が高くなります。
関連するパーツを同時交換すれば、一度で修理を済ませられます。
とはいえ複数のパーツを交換するとなると、多額の修理費がかかることも事実です。
したがって、修理せず廃車にするのも選択肢の一つです。
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交換費用が高額になるようであれば、車の買取を検討し、新たに購入するのもよいでしょう。