いざ愛車を売却や廃車しようと業者に頼んだのに、返ってきたのは
「先に所有権解除してください。」
聞きなじみのない言葉に、なんとなく難しそうと感じた方もいるのではないでしょうか。
この「所有権解除」、ローンで車を購入している人は要注意!
車がローン会社名義になっていて、自由に売却・廃車ができません。
たとえローンを完済しても、手続きをしない限り自動では解除されません。
本記事では、「そもそも所有権解除とは何?」という疑問に答え、難しそうなイメージを払拭します。
そして所有権解除のやり方・必要書類を7ステップで、わかりやすく解説します。
あなたの所有権解除手続きのお役に立てれば幸いです。
所有権解除とは?
所有権解除とは、「車検証の所有者を自分名義に変更する」ことです。
車をローンで購入した場合、使用者はあなたでも、所有者はディーラーやローン会社になっています。
これは、車を担保としたローン契約であるためです。ローン会社は、未完済の車を勝手に売却・廃車されるのを防ぐことができます。
2023年以前に交付された旧車検証では、所有者欄で確認できます。
なお、2023年1月4日から交付された新車検証には所有者欄の記載が消えました。
そのため、新車検証に埋め込まれたICタグをスマホ等で読み取るか、自動車検査証記録事項で確認することができます。
所有者がディーラーやローン会社である場合、車の名義(所有者欄の名前)は手続きしない限り変更されません。
手続きには2週間以上かかるので、余裕をもった変更がおすすめです。
車を担保としない銀行系ローン(マイカーローン)の場合、所有者もあなたであることがあります。その場合、所有権解除の手続きは必要ありません。
これでわかる!所有権解除の方法を7ステップで解説!
「所有権解除」が何か分かったところで、次は手続き方法を解説します。
全体の流れは、2パートに分けることができます。
①所有権解除のための書類を受け取る
②名義変更手続きをする
次から各ステップについて詳しく解説していきます。
①書類受け取りまでの4ステップ
このパートでは、ローン会社やディーラーとやり取りし、所有権解除のための書類を手に入れます。
「所有権解除のための書類」とは、会社が所有権をあなたへ変更することに同意する証明書のようなものです。
4ステップで解説します。
①-1 ローンの完済
所有権解除にはローンの完済が必須です。
返済期間中であっても、ローン残高の一括返済や、車買取価格を返済に充てることが可能な場合もあります。
ローン完済すると完済証明書(契約終了通知書)がローン会社から郵送されます。
証明書は、完済後1週間〜10日後に自宅に郵送されることが一般的で、所有者欄の会社とのやりとりで必要になります。
完済済みの方で、証明書を紛失している場合は、ローン会社に再発行を問い合わせてみてください。
例外として、事故で大破した車の所有権解除をする場合、会社によっては、ローンの残債が残っていても解除の書類を発行してくれます。ただしその際には、「解体をしてから廃車」が条件となることが多いです。当てはまる方は、一度、所有権のある会社に問い合わせてみてください。
①-2 所有者欄の会社へ連絡
車検証の所有者欄のローン会社やディーラーに、「所有権を解除をしたい」という旨を問い合わせましょう。申請に必要な書類を教えてもらえます。
電話や営業所へ訪問する前に、一度webサイトをチェックをすることをおすすめします。
下記のサイトで、必要書類一覧を手軽にチェックできます。
web受付をしている会社であれば、必要書類の写真をアップロードするだけで、所有権解除のための書類が取得できます。
①-4 解除のための書類受け取りまでがwebで完結し、簡単になります。
万が一、所有権を持つ会社が倒産している場合はこちらをご参照ください。
ローン会社/ディーラー | ご連絡先 | 備考 |
---|---|---|
トヨタファイナンス | 各販売店へ問い合わせ | 一部販売店では名義変更まで代行 |
トヨタモビリティ東京 | 03-5439-7240 | ー |
ホンダファイナンス | 0120-555-381 | web受付対応 |
スズキファイナンス | 053-445-0702 | ー |
スズキ自動車販売東京 | 03-6379-3470 | ー |
日産自動車販売株式会社 | 03-6381-7553 | ー |
関東マツダ | 0570-031-261 | ー |
関西マツダ | 06-6568-8015 | ー |
スバル | 各販売店へ問い合わせ | ー |
JACCS | 0570-003083 | web受付対応 |
オリエントコーポレーション | 03-5213-6981(関東・甲信越)
06-6263-3100(関西) |
web受付対応 |
プレミア株式会社 | 03-5114-5700 | ー |
三菱自動車ファイナンス | 0120-03-2855 | web受付対応 |
アプラス | 0570-022-122 | ー |
SMBCファイナンス | 052-310-1555 | ー |
①-3 車検証・印鑑証明書など必要書類を準備
①-2所有者欄の会社へ連絡し、教えてもらった書類を準備しましょう。
各社によって必要書類は異なります。
以下に、一般的に必要な書類をまとめました。
費用は300円〜1,500円になります。
▼必要書類一覧
必要書類 | 車検証 | コピーの場合もある。
電子車検証の場合は「自動車検査証記録事項」のコピーが必要。 |
完済証明書 | ローン会社であれば必要ないこともある。 | |
自動車税納税証明書 | 5月頃に自動車納税通知書とともに郵送される。
キャッシュレスで納税した場合、発行されないこともある。 再発行は、都道府県税事務所や自動車税管理事務所の窓口または郵送での申請で可能。 |
|
所有権解除依頼書 | HPからひな形をダウンロードしたり、書式に従って作成したり、会社によって異なる | |
印鑑証明書 | 市役所やコンビニのマルチコピー機交付可能。
発行代 : 300円 3ヶ月以内に発行したもの。 |
|
費用 | 300円 |
一部必要となる書類 | 住民票 | 住所変更があった場合に必要。
市役所やコンビニのマルチコピー機交付可能。 発行代 : 300円 |
戸籍謄本 | 改姓があった場合に必要。
取得には10日前後かかる。 発行代 : 450円 |
|
返信用封筒、切手 | ①-4で会社が解除のための書類を郵送する際に必要とする場合がある。
費用 : 約450円 |
①-4 解除のための書類の受け取り
準備した書類を会社に郵送、または販売店へ持っていきましょう。
個人情報が書かれた書類であるため、郵送の場合は簡易書留がおすすめです。
約1週間〜10日で所有権解除のための書類が会社から郵送されてきます。
次は、名義変更をしましょう。
②名義変更までの3ステップ
このパートでは運輸支局 (軽自動車の場合は軽自動車協会) で手続きを行い、名義変更を完了します。
3ステップで解説します。
②-1 解除のための書類+必要書類を準備
まず、名義変更手続きのために必要な書類を用意します。
必要書類は以下の通りです。
費用は300円〜3000円になります。
必要書類
持ち物 |
①-4で手に入れた
解除のための書類 |
中身はおおよそ以下のもの。
・車検証 ・譲渡証明書 ・印鑑証明書 ・委任状 |
印鑑証明書 | 市役所やコンビニのマルチコピー機交付可能。
発行代 : 300円 3ヶ月以内に発行したもの。 |
|
実印 | 運輸支局での手続きのために持っていくとよい。 | |
費用 | 300円 |
一部必要となる書類 | 自動車保管場所証明書 | 車検証と住所または氏名が異なる場合に必要。
警察署で交付される。 取得には約1週間かかる。 発行代 : 2500~2700円(軽自動車は600円) 1ヶ月以内に発行したもの。 |
②-2 運輸支局へ(軽自動車の場合は軽自動車協会へ)
普通車の場合、名義変更は所轄の運輸支局で行います。軽自動車の場合は、軽自動車協会です。
平日の16時までしか受け付けていないので、ご注意ください。
記入書類 | 申請書 | 現地で購入。
費用 : 30~40円 |
自動車税申告書 | 運輸支局に併設されている税事務所で受取り・提出する。 | |
手数料納付書 | 車検登録印紙を貼り付けて提出する。 | |
車検登録印紙 | 現地で購入。
費用 : 500円 |
|
費用 | 540円 |
上記書類を現地で記入し、②-1で準備した解除のための書類+必要書類と合わせて提出します。
問題なければ1日で名義変更でき、その場で新しい車検証を取得できます。
ローン購入時から管轄をまたいだ引っ越しをしていない場合には、これで所有権の解除完了です。
②-3 ナンバープレート交付(※一部の場合)
ローン購入時から管轄をまたいで引っ越しをしていた場合、名義変更とともに、ナンバープレートの変更が必要になります。
例)兵庫県から大阪府に引っ越した → 姫路ナンバーから大阪ナンバーへ変更
ナンバープレート交付には2000円かかります。
普通車の場合は、運輸支局へ車も持ち込みましょう。ナンバープレートのつけ外しは自分で行わなくてよいので、ご安心ください。
軽自動車の場合は、車の持ち込みは必須ではありません。事前に外したナンバープレートだけを持ち込むこともできます。
さらに詳しい方法を知りたい方は、自分で名義変更のやり方を説明したこちらをご参照ください。
まとめ
この記事では、「所有権解除とは」から手続きのやり方・必要書類までを解説しました。
とはいえ、「手間も時間もかかるしめんどくさい!」こう思われた方もいるのではないでしょうか。
今後も名義変更した車に乗り続ける場合、代行業者を利用すれば、② 運輸支局での名義変更が省略できます。主な依頼先は、ディーラーや行政書士、自動車販売店です。
費用の相場は1万5000円〜7万5000円と、依頼内容によって幅があるため、慎重に選びましょう。
車をすぐに買取や廃車に出す場合には、手続きの一部を代行する買取・廃車業者を利用すると便利です。
「ハイシャル」の場合、お客様にしていただくのは、①-4 ローン会社から解除のための書類を受け取るところまで
その後の手続きは代行いたします。
平日にわざわざ時間を作って運輸支局に行く手間を省くことができ、お仕事で忙しい方におすすめです。
廃車したいと思った際には、所有権解除も手軽な「ハイシャル」にご相談ください。
所有権を持つ会社が倒産していたらどうすれば?
まず法務省から謄本を取り寄せ、会社の状況を確認しましょう。倒産を確認したうえで、精算人や破産管財人などの第三者がついているかによって対応が異なります。
第三者がついている場合、その方に連絡をして書類を取り寄せてください。書類は発行から2か月以内のものをお使いください。
第三者がついていない場合、裁判によって、法的手続きを通して名義を変える方法があります。もちろん裁判費用や手続きの手間がかかります。
その他の方法としては、車を解体する方法もあります。解体業者に解体報告という処理をしてもらうことで、都道府県税事務所で税金を止めてもらうことができます。ただし、ナンバープレートについては、車検切れ後3〜5年は返納できないので注意が必要です。