「ラジエーターから冷却水が漏れているけど、交換費用はいくらかかるの?」
「ラジエーターの交換費用の見積もりが高い……これが普通?」
「交換費用を調べてみても、出てくる情報がバラバラでよくわからない」
上記のようにお困りではありませんか?
ラジエーターは、普段車に乗っていても聞きなじみがなく、修理費用の相場についてもイメージしにくいものです。
実は、ラジエーターと一口に言っても、それを構成するパーツのうちどれが壊れているのかによって、修理費用は大きく変わります。
さらに、どの業者に修理を依頼するかというのも、修理費用の相場を決める大きな要因です。
そこで、この記事では、主に以下のことを解説します。
- ラジエーターの修理・交換費用
- 修理を依頼できる業者の比較
- ラジエーター故障の原因
- 故障を防ぐ方法
この記事を読んでいただければ、修理費用を破損部ごとに解説しているため、より正確に相場がつかめるでしょう。
ラジエーターの修理・交換費用は破損部によって異なる
ラジエーターの修理・交換にかかる費用は、どこが破損したかによって異なります。
主な破損部の例と、修理・交換費用は以下の通りです。
破損部 | 修理・交換費用 |
---|---|
ラジエーターコア | 3〜10万円 |
ラジエーターファン | 2〜5万円 |
サーモスタット | 1〜3万円 |
ラジエーターキャップ | 1,000〜5,000円 |
ホース類 | 5,000円〜3万円 |
まずは、それぞれのパーツがどのようなものか簡単に確認しておきましょう。
ラジエーターは、エンジンの排熱で熱された冷却水を冷却フィンが内蔵されたラジエーターコア内に通し、ラジエーターコアに風を当てることで冷却水を冷やす装置です。
ラジエーターコアは車の最前面に装着されているので、走行中は走行風によって冷却できますが、停車時はラジエーターファンを回すことによって風を当てています。
また、ラジエーターコア内には常に冷却水が送られているわけではなく、一定以上の温度になった時だけ送られます。
これを冷却水の温度に応じて自動的に切り替える弁が、サーモスタットです。
ここからは、それぞれのパーツの修理・交換費用について詳しく見ていきます。
ラジエーターコア(3〜10万円)
ラジエーターコアを修理・交換するのにかかる費用は、3〜10万円です。
ラジエーターコアとは、エンジンが過度に熱くなりすぎるのを防ぐパーツのこと。
エンジンで温められた冷却水を冷却し、循環させてオーバーヒートを防止するのが役目です。
小さな穴が空いた程度であれば、その穴を埋める修理が可能なので、3万円以下で済む可能性もあります。
一方で、それ以上の損傷の場合は、修理が不可能で、ラジエーターコアを丸ごと交換する必要があります。
この場合、車種によって3〜10万円ほどの交換費用がかかります。
ラジエーターファン(2〜5万円)
ラジエーターファンを修理・交換するのにかかる費用は、2〜5万円です。
ラジエーターファンとは、ラジエーターに風を送るパーツのことです。
冷却水の温度が一定以上高まったときに回転し、送風してラジエーターを冷やします。
ラジエーターファンは主に、停車時や、渋滞などによって走る速度が遅くなった際に作動します。
速度が遅いと、冷却するための走行風が入りにくくなるためです。
サーモスタット(1〜3万円)
サーモスタットを修理・交換するのにかかる費用は、1〜3万円です。
サーモスタットは、冷却水の温度が高いときにはラジエーターコアに冷却水を送り、低いときには遮断することによって、エンジンの温度を一定に保つための弁です。
サーモスタットが故障すると、エンジンの温度を正常に保てなくなってオーバーヒートやオーバークールを引き起こすリスクもあるため、早めに交換しましょう。
サーモスタットの交換費用や、オーバーヒート、オーバークールについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
ラジエーターキャップ(1,000〜5,000円)
ラジエーターキャップを修理・交換するのにかかる費用は、1,000〜5,000円です。
ラジエーターキャップとは、ラジエーター内の圧力調整を行ったり、内部の冷却水を密閉したりするキャップのことです。
ラジエーターキャップが故障することで、冷却水漏れなどのトラブルに繋がります。
ホース類(5,000円〜3万円)
ホース類を修理・交換するのにかかる費用は、5,000円〜3万円です。
ラジエーターホースは、アッパーホースとロアホースに分かれています。
冷たい冷却水はロアホースでエンジンへと送られ、熱くなった冷却水はアッパーホースでラジエーターの上の方へと送られます。
冷却水を正しく循環させる上で重要なパーツのため、壊れたらすぐに修理・交換を実施しましょう。
ラジエーターの修理・交換費用を抑える方法3つ
ご覧いただいたように、ラジエーターの修理・交換費用は、決して安いものではありません。
そこで、以下の3つの方法を知っておくと、ラジエーターの修理・交換にかかる費用を抑えやすくなります。
- リビルト品や社外新品を利用する
- 整備工場に依頼する
- 相見積もりを取る
それぞれについて詳しく見ていきます。
リビルト品や社外新品を利用する
1つ目の方法は、リビルト品や社外新品を使用するというもの。
リビルト品とは、廃車にされた車からまだ使えるものを取り出して再利用するパーツのことです。
パーツの中にある部品は必要に応じて交換・点検が行われ、厳しい検査も実施されるため、「再利用」といっても品質に問題はありません。
それにもかかわらず、リビルト品は正規の純正部品に比べて価格が1/3から1/2程度と、大きく抑えられています。
したがって出費を少なくしたい方は、リビルト品を利用するのがおすすめです。
そして、社外新品とは、新品の社外品のことを指します。
社外品とは、純正メーカー以外が作ったパーツのことです。
純正メーカーが作った純正品よりも安く、パーツによっては半額以下で購入できるケースもあります。
多くの選択肢が用意されており、極めて安価なものから、純正品より性能も価格も高いハイエンドなものまでさまざまな製品があります。
社外品のデメリットは、品質の低い商品も多々ある点です。
極端に安いものやパーツに保証がついていないものは粗悪品の可能性が高いため、避けることをおすすめします。
社外品を選ぶ際は、極端に安すぎないことに加え、有名なメーカーが作っているものを選ぶのが良いでしょう。
こうした製品であれば、純正と変わらない品質が担保されつつ、価格も抑えることができます。
整備工場に依頼する
後ほど詳しく説明しますが、整備工場はディーラーやカーショップに比べ、費用が安くなりやすいという特徴があります。
整備工場が安くなりやすい理由は2つ。1つは、自社で直接修理を実施するためです。
ディーラーは修理を頼まれた際、自社で修理を行わず、下請けの工場に依頼します。
そのため、仲介手数料が余分にかかってしまうのです。
整備工場であれば他社に回すことはなく、自社で修理を完結できるため、余計な費用が発生しません。
もう1つの理由としては、工賃単価が低いことが挙げられます。
整備工場は、ディーラーなどに比べてレバーレート(1時間あたりの工賃単価)が安い傾向にあります。
大規模な工場やディーラーは多くの経費がかかるため、レバーレートも高くしなければ経営が回りません。
その点規模の小さい整備工場であれば、経費を抑えられるので、レバーレートも安く済ませられるのです。
修理を下請けに回さず、かつレバーレートも安い整備工場であれば、安く修理が行えるでしょう。
複数の業者で見積もりを取る
修理を依頼する前に複数の業者から見積もりを取る、「相見積もり」も1つの手です。
まったく同じ修理をする場合でも、業者によってかかる費用が異なることは往々にしてあります。
費用は、業者の方針などによって大きく左右するためです。
たとえば、少しでも費用を安くする方針の業者もあれば、コストをかけてでも念入りな整備をする業者もあります。
したがって少しでも安く済ませたいという方は、複数の業者に見積もりを取るのがベスト。
いくつか業者を回って見積もりをもらい、価格とサービスのバランスに納得できるところに依頼すると良いでしょう。
相見積もりを取る際に注意すべきことは、見積もり料が発生する可能性がある点です。
見積もりをもらったものの修理を依頼しなかった場合、業者によっては別途見積り料を請求されるケースがあります。
見積もり料は、見積もり金額の10%が相場です。
予期せず見積もり料を請求されて焦らないよう、不安な方は見積もりをもらう際に見積もり料の有無を尋ねておくのが良いでしょう。
交換が依頼できる代表的な業者3選と特徴
交換を依頼できる主な業者としては、以下の3つが挙げられます。
- ディーラー
- 整備工場
- カーショップ
以下からは、それぞれの業者の特徴について見ていきます。
安心感重視ならディーラー
ディーラーはメーカーと契約を結んでいる正規販売店であるため、安心して修理を任せられます。
修理は信頼性の高い場所に外注してくれるので、怪しい業者に当たって中途半端な修理をされるリスクもありません。
また、パーツ交換を行う際は、安心感の高い純正パーツを使用してもらえます。
純正パーツは社外パーツと異なり、多くの場合手厚い保証が設けられています。
もし修理した直後に壊れるようなことがあれば、保証によって無料で再度修理してもらえます。
デメリットは、費用が高額になりやすい点です。
純正パーツは信頼性が高い反面高額なため、かかる総合的な費用も高くなります。
さらにディーラーに依頼した場合、修理は外部に発注されます。
仲介手数料がプラスで請求されるため、合計の料金は高くなりやすい傾向にあります。
価格重視なら整備工場
とにかく安く済ませたい方は、整備工場への依頼をおすすめします。
整備工場は以下の3つの理由により、ディーラーなどに比べて費用が安くなりやすい傾向にあります。
- 仲介手数料が発生しないから
- 工賃そのものが安いから
- リビルトパーツが使えるから
仲介手数料や工賃については、先ほど説明した通りです。
そして、手数料や工賃だけでなく、部品代についても、整備工場の方が安くなります。
それは、リビルトパーツを使用できるからです。
ディーラーでは、純正パーツを使用するのが原則であるところ、整備工場にはそのような決まりはないため、コスパが非常に高いリビルト品が積極的に利用されています。
以上の理由から、整備工場での整備は、他よりも総額が安くなりやすいです。
ただし、ときに整備工場はディーラーほどの信頼性がない場合もあり、工場によって技術力にムラがあります。
そのため整備工場に行く際は、ネットの評判などをしっかりとチェックし、良質な業者を見極めることが重要です。
早さ重視ならカーショップ
とにかく早さを重視したいのであれば、オートバックスやイエローハットといったカーショップがおすすめです。
ディーラーなどの場合、混雑しやすい時期に修理を依頼すると、完了するまでに時間がかかることもしばしばあります。
その点カーショップであれば、さまざまな委託先と提携しているため、忙しい時期でもすぐに委託先を見つけて修理を済ませてくれます。
デメリットは、ディーラーと同じく外注委託になる場合があったり、工賃の単価も高めに設定されている点です。
そのため、合計でかかる費用も高くなる傾向にあります。
上記の通り、どの業者も一長一短の特徴を持っています。
それぞれを比較検討し、自分に合った業者を選びましょう。
ラジエーター故障の3つの原因
業者を紹介したところで、ラジエーターが故障する3つの原因をお伝えします。
ラジエーターが故障する原因は、主に以下の3つです。
- 経年劣化
- 物理的ダメージ
- 冷却水の不足・劣化
経年劣化や、物理的なダメージは防ぐことが難しいですが、冷却水の不足・劣化については、メンテナンスの実施により未然に防ぐことができます。
経年劣化
ラジエーターコアを長年使用し続けたことで、経年劣化し故障するケースはよく見られます。
たとえば、エンジンや走行時の振動により、少しずつラジエーターコアが摩耗して断裂してしまうことなどがあります。
ラジエーターは多くの場合、10年10万キロが寿命の目安とされています。
寿命が近づいている方や過ぎてしまった方は、早めの点検・交換をおすすめします。
物理的ダメージ
ラジエーターコアに飛び石や木の枝が衝突し、物理的ダメージを負って壊れたケースです。
ラジエーターは風がよく当たって冷えやすくなるように、フロントバンパーの穴に合わせて設置されるケースがほとんどです。
そのため、外部からのダメージを受けやすいという弱みがあります。
飛び石は、フロントガラスを割るほどの威力があります。
そのため、こうした物体によって物理的な損傷を負うケースは少なくありません。
飛び石を受けた直後は何ともなくとも、後からそのダメージがきっかけで徐々に亀裂が生じてくることもあるため、油断は禁物です。
冷却水の不足・劣化
冷却水が漏れて不足すると、エンジンやラジエーターを十分に冷やせなくなり、ラジエーターの破損につながります。
冷却水の不足は、主にラジエーターキャップやホースの劣化によって起こります。
ラジエーターキャップが劣化すると、冷却水を加圧できなくなるため、冷却水が沸騰して、外に漏れ出します。
また、ラジエーターホースが劣化して亀裂が入ったり破れたりすれば、中を通っている冷却水が漏れ出すでしょう。
上記の原因によって冷却水が漏れると、ラジエーターが故障します。
また、冷却水自体が劣化することでもラジエーターは故障する可能性があります。
冷却水には本来、錆びにくい成分が含まれていますが、使い続けているうちに効果が薄れて錆びやすくなるのです。
定期的に交換せず古い冷却水を使用し続けた場合、ラジエーターの中が錆び付き、破損を引き起こすことにもなりかねません。
冷却水の漏れや不足については、以下の記事も参考にしてみてください。
ラジエーターを長持ちさせる3つのポイント
車の年式が古くなり、走行距離が増えれば、その分故障のリスクは高まります。
故障しにくくさせるためには、正しいメンテナンスを行って寿命をできる限り延ばすことが大切です。
長持ちさせるために覚えておきたいポイントは、以下の3つ。
- 冷却水の交換・補充
- ラジエーターキャップの交換
- 添加剤・漏れどめ剤などを使いすぎない
それぞれの詳細については、以下で解説していきます。
冷却水の交換・補充
冷却水は消耗品であるため、適切な時期にしっかりと交換を行いましょう。
交換時期は、2〜10年と冷却水によってもさまざま。
自分の車で使用している冷却水の交換時期がいつなのか、ぜひあらかじめ把握しておくようにしてください。
通常の冷却水は、鮮やかなピンクや緑色をしています。
黒っぽく変色しているなど元の色と明らかに違いが見られる場合は、交換時期に関係なく早めに交換することも大切です。
また、冷却水の量が減っていないかも定期的にチェックすることが大切です。
冷却水が減少していたら、すぐに補充するようにしましょう。
そして、冷却水を交換した後は、ラジエーターの中にある空気を抜く「エア抜き」を実施しましょう。
空気が残った状態のまま放置すると、熱膨張によって空気が冷却水を外に追い出し、ラジエーターが故障することに繋がります。
冷却水の交換や補充をプロに依頼した場合、エア抜きまで含めてやってくれます。
交換や補充をDIYで行う場合は、忘れず自身でエア抜きを実施しましょう。
やり方は車のサービスマニュアルを参照して正しい手順で行いましょう。
ラジエーターキャップの交換
ラジエーターを守るためにも、ラジエーターキャップは適切な時期に交換しましょう。
2〜3年に一度、車検のタイミングで交換するのが理想です。
ラジエーターキャップは、ラジエーター内に圧力をかけ、冷却水が100度になっても沸騰しないようキープする重要な役割を持っている部品。
したがってラジエーターキャップが壊れれば、ラジエーターも深刻なダメージを負う可能性があります。
添加剤・漏れどめ剤などを使いすぎない
カー用品の1つとして、ラジエーター内の冷却水に以下のような効果を与える添加剤(漏れ止め剤)が存在します。
- 錆びや漏れを防止する
- オーバーヒートを防ぐ
上記は快適なドライブに一役買ってくれるものでもありますが、入れすぎると、逆に冷却水を劣化しやすくさせることもあります。
あまり必要ないのに使ったり、極端に投入しすぎたりすることがないようにしましょう。
交換費用が高すぎるなら乗り換えも検討
今回の記事ではラジエーターの交換費用について解説してきましたが、中には「交換費用が高すぎて払う気になれない」と思われた方もいるのではないでしょうか。
高い修理費用を払いたくないという方は、思い切って車を手放してしまうのも一つの手です。
というのもラジエーターが壊れたということは、ラジエーターだけでなく他のパーツも修理が必要になってくる可能性が高いためです。
他のパーツを修理することになる根拠は2つ。
1つ目は、ラジエーターが故障したということは、ラジエーターだけでなくエンジンもダメージを受けている可能性があるためです。
エンジンは、車における心臓のようなパーツ。
エンジンが壊れれば、他の部品も次々に不具合を起こしていくことにも繋がりかねません。
2つ目は、ラジエーターの寿命に伴って他のパーツも悪くなり始めてくるためです。
ラジエーターの寿命は10年程度に設定されていますが、10年というのは他の多くのパーツの寿命でもあります。
もしラジエーターが寿命によって故障した場合、他のパーツが交換時期に差し掛かっている可能性が高いです。
上記のような理由から、ラジエーターだけでなく他のパーツについても交換が必要になってくるでしょう。
そのたびにすべてのパーツを修理・交換していては、費用がどんどんかさんでいってしまいますよね。
次々に起こる車の不具合に悩まされたくないという方は、車の買い替えを検討してみてはいかがでしょうか。
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車を手放したいと思った際には、ぜひ一度ご相談ください。