次のような疑問に答える記事です。
「エンジンフラッシングってどんなもの?」
「絶対しなくちゃいけないの?」
「方法や料金の目安を知りたい」
エンジンフラッシングとは、エンジン内部の洗浄を指す言葉です。外からは見えない汚れをきれいにして、エンジンをよい状態に保ちます。
しかし、エンジンフラッシングは本当に効果があるのか、デメリットはないのかなど、気になる人も多いのではないでしょうか。
この記事では、エンジンフラッシングの必要性やデメリットを解説します。
結論からいうと、エンジンオイルをきちんと交換していれば不要なメンテナンスです。
エンジンフラッシングが必要な車や、避けたほうがいい車も解説するので、自分の車に必要なのかがわかりますよ。
エンジンの不調は走行に直接関係します。快適なカーライフを楽しむためにも、メンテナンスを怠らないようにしましょう。
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エンジンフラッシングとはエンジン内部のクリーニング
エンジンフラッシングとは、エンジン内部にあるオイルの通り道を洗浄することです。
エンジンの内部には、エンジンオイルが隅々までいきわたるように、いたるところにオイルの通り道があります。
その通り道には、車を使っているうちに「スラッジ」とよばれる燃えカスとエンジンオイルが混ざった不純物が溜まっていきます。
わかりやすくいうと、お風呂場の排水溝に髪の毛などのゴミと水垢や石鹸カスが溜まって、水の流れが悪くなっている状態です。
エンジンも同じで、オイルの流れが悪くなったり、詰まったりすると、故障の原因になります。
スラッジはエンジンにとってよくないものなので、溜めないことが望ましいです。
エンジンフラッシングでは、専用の添加剤やオイル、機械を使用してエンジン内部をきれいにします。
エンジンフラッシングは不要なのか
エンジンフラッシングは、エンジンオイルの交換を適切な時期に行っていれば必要ありません。
エンジンオイルには各部品の潤滑や冷却のほかにも、発生した汚れを洗浄する役割があります。洗浄効果を保つためにも、エンジンオイルの定期的な交換が必要なのです。
エンジンオイルが劣化する前に交換しているのなら、エンジンフラッシングは不要です。
しかし、中古車を購入し、前のオーナーの管理が悪かった場合はエンジンフラッシングをおすすめするケースもあります。
しばらく乗らずに放置していた車や、走行距離の多い車を購入した場合などは、エンジン内部を一度リフレッシュすることで快適に走行できる可能性もあります。
また、スポーツカーなどでエンジンを酷使するケースも必要です。
スポーツ走行はエンジンを高い回転数で連続して使用する場合が多く、一般的な車と比べるとエンジンに負荷がかかりやすい状態になります。
こうしたエンジンをケアするために、エンジンフラッシングはとても有効な方法だといえるでしょう。
ですが、エンジンフラッシングでエンジン内部のスラッジを洗浄するより、スラッジができないようにメンテナンスをしっかり行うことが重要です。
人間にもいえることですが、病気になる前に予防することが大切です。エンジンも長く快適に使うため、定期的にエンジンオイルを交換しましょう。
エンジンオイルの交換目安は半年に1回、または走行距離3,000km〜5,000kmのどちらか早いほうです。
エンジン内に汚れ(スラッジ)を溜め続けるのはNG
エンジン内部をきれいに保つ重要さをおわかりいただけたと思います。定期的なエンジンオイルの交換こそ最大の予防です。
では、エンジンオイルの交換を怠り、エンジン内部に汚れ(スラッジ)が溜まってしまうとどのような症状がでるのでしょうか?
具体的には、以下の3つが考えられます。
・エンジンが始動しにくくなる
・アイドリングが安定しなくなる
・エンジン音がうるさくなる
順番に解説します。
エンジンの始動が悪化する
エンジン内部が汚れると、エンジンが始動しづらくなります。
スラッジが蓄積してオイルの流れが悪くなると、エンジンには余計な負荷がかかります。
その結果、思ったように内部の部品が作動しなくなり、レスポンスが悪化する原因に。
オイルの通り道がスラッジでふさがれるとオイルの流れが悪くなり、エンジンはオイルが十分にあるのに量が足りない状態になってしまいます。
このような状態になると、エンジンのかかりが悪くなったり、かろうじて始動はしてもかなり重たいと感じたりします。
アイドリングが安定しなくなる
エンジンはなんとか始動できても、アイドリングが不安定になる可能性があります。
先ほどもお伝えしましたが、エンジン内部にスラッジが溜まると、エンジンにはかなりの負荷がかかっています。
蓄積されたスラッジによってオイルの流れをさえぎられると、各部品がスムーズに作動できず、アイドリングを一定の回転数で保つのが難しい状態に。
信号待ちや交差点のど真ん中でエンストを起こすなど、大きな事故につながる確率もゼロではありません。
「いつエンジンが止まるかわからない」と不安な気持ちを抱えながら運転をするのは、運転手にも周りにも危険が及びます。
アイドリングが不安定になると、エンジンだけでなく運転手の心理状態まで悪化する場合が多いでしょう。
エンジン音がうるさくなる
エンジン内部の汚れでとくに注意が必要なのが、エンジン音が大きくなる症状です。
エンジンにスラッジが溜まり、オイルの通り道をふさいでしまうと、オイルは入っているのにきちんと循環できず、常に潤滑不足の状態になります。
エンジンは金属の部品でできており、焼き付きを起こさないようエンジンオイルによって潤滑作用や冷却作用で守られています。
もし、潤滑や冷却が適切に行われないと、部品同士の癒着が起こりエンジンが焼き付く原因に。
エンジンが焼き付くと、走行はおろかエンジン始動も不可能になります。エンジン内部がボロボロに傷つき、修理は非常に高額になる場合が多く見られます。
金属がすれるような「カンカンカン!」と高い音が聞こえたら、エンジンが焼き付きを起こしかけている合図です。
できるだけ早めに整備工場へ行きましょう。
エンジンフラッシングをする3つの方法と料金
ここまでエンジンの内部に汚れ(スラッジ)が溜まると見られる症状について解説しました。
スラッジの蓄積はエンジンにとって要注意ということがおわかりいただけたと思います。
では、エンジンを快適に保つために、エンジンフラッシングにはどのような方法があるのでしょうか?
主に3つの方法があります。
・エンジンオイル添加剤を使う
・フラッシングオイル(洗浄剤)を使う
・フラッシングマシンを使う
作業内容と料金の目安をそれぞれ解説します。
エンジンオイル添加剤を使う
一番メジャーな方法は、エンジンオイル添加剤を入れることです。
エンジンオイルに添加剤を加えるだけなので、手間も時間もかかりません。
作業内容はオイル交換とほぼ同じです。
1.添加剤を加える
2.走行する
3.エンジンオイル、オイルフィルターを交換する
走行しながらゆっくりとエンジンの汚れを落とすのが特徴です。
料金の目安は、エンジンオイルとオイルフィルターの交換料金(目安3,000円〜10,000円)と、添加剤の約1,000円〜約3,000円がプラスされます。
フラッシングオイル(洗浄剤)を使う
次に、フラッシングオイルを使う方法です。フラッシングオイルには、添加剤が入っています。
エンジンオイル添加剤よりも工程は多くなりますが、もともと添加剤が入っているオイルを入れるので汚れが落ちやすいメリットがあります。
作業内容は以下の通りです。
1.エンジンオイルを抜く
2.フラッシングオイルを入れる
3.数分間アイドリングさせる
4.フラッシングオイルを抜き、オイルフィルターを交換する
5.新しいエンジンオイルを入れる
オイル交換を2回行わなければならないので、その分時間と手間がかかるのがデメリットですが、エンジンオイル添加剤よりも高い効果が期待できます。
注意点は、フラッシングオイルをエンジンオイルのかわりにしないことです。長期間の利用はエンジンが傷つく恐れがあります。
フラッシングオイルはあくまで洗浄用です。エンジンオイルとは役割がちがうことを意識してください。
料金の目安は、エンジンオイルとオイルフィルターの交換料金(目安3,000円〜10,000円)にフラッシングオイルの約2,000円〜約3,000円がプラスされます。
オイル交換の手順を2回繰り返すので、工賃が2回分必要なケースもあります。業者によって異なるので、作業を開始する前に確認しておきましょう。
フラッシングマシンを使う
フラッシングマシンを使用する方法もあります。
フラッシングマシンは、エンジンフラッシングの中でも高い洗浄力をもっているのがメリットです。
エンジンに直接機械をつなぎ、洗浄液を入れてエンジンの隅々まで汚れを除去します。
方法は以下の通りです。
1.エンジンオイルを抜き、オイルフィルターも外す
2.フラッシングマシンをエンジンにつなぐ
3.専用の洗浄液を入れ、循環させる
4.洗浄液を抜く
5.新しいエンジンオイルとオイルフィルターを取り付ける
コストは上がりますが、フラッシングオイルよりも洗浄力が強く、しっかりと汚れを落としたい人におすすめです。
注意点は、フラッシングマシンのある業者でしか作業ができないことです。
必ず依頼先にフラッシングマシンがあることを確認してください。
料金の目安は、エンジンオイルとオイルフィルターの交換料金(目安3,000円〜10,000円)に約6,000円〜がプラスされます。
【デメリット】エンジンフラッシングで故障するケースがある
エンジン内部を洗浄するエンジンフラッシングですが、作業をしないほうがいい車もあります。
具体的には、主に以下のような車です。
・長期間エンジンオイルを交換していない
・年式が古い
走行距離をかなり走っている車で、過去に数回しかエンジンオイルを交換していない車は、故障するリスクが高いです。
汚れが一気に落ち、異物がオイルの通り道をふさいでしまう可能性があるからです。
中には作業をした後にエンジンから異音が聞こえるようになり、診断の結果エンジン内部が傷ついていた事例もあります。
オーバーホールか載せ替えしか選択肢はなく、高額な修理費用がかかってしまうことも。
どうしても行う場合は、一気に汚れが取れる洗浄剤ではなく、徐々に汚れを溶かしながらじわじわと効いてくる遅効性のものを使用しましょう。
また、あまりにも年式が古い車もおすすめできません。
もし故障してしまった場合でも、交換する部品がない可能性が高いからです。
エンジンの調子をよくしようと思って行ったのに、壊れて直せなくなっては本末転倒です。
適切なタイミングでのオイル交換を心がけましょう。
まとめ
エンジンフラッシングとは、エンジンの内側を洗浄する作業のことです。
エンジン内に蓄積された汚れ(スラッジ)を落とし、オイルの通り道を洗浄します。
定期的なエンジンオイルの交換を行っている車には必要のないメンテナンスですが、中古車などを購入し、前のオーナーの管理が悪かった場合には行ったほうがいいケースもあります。
逆に故障のリスクが高くなってしまう車もあるので、自分の車の状況を見ながら判断してください。
エンジンを長く快適に使用するには、定期的なエンジンオイルの交換が欠かせません。
しっかりメンテナンスをして、快適なカーライフを楽しんでくださいね。