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エンジンと並ぶ車の主要機関であるAT(オートマチック・トランス)ミッション。
もし故障してしまうと車が走行不能になってしまうどころか、故障のタイミングによっては重大な事故につながります。
ATミッションが故障してしまった、あるいは故障かな?と思ったら
- ATミッションが原因の故障の症状は?
- 修理費用はどのくらい?
- 車の寿命と考えて手放すべき?
こういったところが悩みどころだと思います。
今回は、故障時に起こる4つの症状やケース別の修理費用を解説します。
修理費用をお得にする秘訣もお伝えするので、ぜひ参考にしてください。
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ATミッションの故障した時に起こる4つの症状
普段乗っている自動車の調子が悪い、故障かな?と思ったときにATミッションが原因と考えられる、おもな症状についてご説明していきます。
また、いずれの症状も放って置くとさらなる故障や事故につながる為、早めの点検をおすすめします。
アクセルを踏んでも動力が伝わりにくくなる(滑り)
アクセルを踏んだ時、エンジンの回転数は上がるのに車が前に進みづらい、または全く進まなくなることがあります。
これはいわゆる「滑り」と呼ばれる現象です。
エンジンの動力をミッションに伝えるトルクコンバータの故障によって起こります。
上り坂やアクセルを大きく踏み込んだ時にこのような症状が出ていると、車は充分な加速を得られず追突事故につながります。
変速時に異音や振動を感じる
シフトレバーをパーキングからドライブへ入れたとき「ガックン」と車体が揺さ振られるようになったり、「コツコツ」「ガリガリ」というような異音がしたときは要注意です。
ATミッションもMTミッションと同じように、内部で一速二速とギアを上げ下げしています。
そのため通常であればスムーズに行われるギアの変速が、ミッション内部の故障により異音や振動となって現れることがあります。
こういった症状を放置していると、ミッション内部のギアが壊れ、破片が内部を破壊することにより、修理が困難な故障を招く可能性があります。
燃費が悪くなる
「最近急に燃費が悪くなった」「以前よりエンジンを吹かして走るようになった」というような時はミッションの故障を疑いましょう。
エンジンから伝わる動力をミッションを介してタイヤに伝えているので、ミッションの故障も燃費を悪くする原因になります。
ミッションが故障することで、エンジンの力を効率よく伝えられず、必要以上にエンジンの回転を上げる事で燃費は悪くなります。
異臭がしてくる
ATミッション内部はオイルで満たされているので、異常な加熱によりオイルが燃える事で臭いや煙を発生させることがあります。
また、ATミッションに使われるATF(オートマチックオイル)は、一般的なエンジンオイルよりも臭いが強い傾向にあります。
このためATミッションがオイル漏れを起こすと、鉄の焼けたような臭いがエンジンルームやシート下からしてきます。
オイルが漏れ続けた場合、油面の低下による故障につながったり、漏れたオイルに引火して火災を起こす危険性があります。
車から異臭を感じた場合はすぐにエンジンを停止して、油量や油溜まりができていないかの点検をしましょう。
車のATミッションが故障する3つの原因
それでは、そんな症状を引き起こすATミッションの故障の原因について、いくつか例をあげてご説明します。
普段は気にしていなくても、意外な原因に心当たりがあるのではないでしょうか。
また、いずれの原因でもミッション自体の修理や交換が必要となり、放っておくとエンジンや足回りの故障につながることになります。
車の寿命(経年劣化)
最も多い故障の原因が、ミッション内部の部品やオイルの経年劣化です。
ATミッションは車の部品の中では比較的故障の少ない部品ですが、やはり内部の部品は劣化していきます。
つまりは走行距離が延びるにつれ、内部のギアやクラッチ盤は損耗し異音や振動を生みます。
ATミッションなのにクラッチ?と思われるかもしれませんが、ATミッション内部にもクラッチ盤は使われています。そして、このクラッチ盤が削れて細かいスラッジ(鉄粉)を出すことでオイルが汚れ、油路の詰まりや新たなスラッジを呼びます。
ギヤも同じく常に噛み合うことによって減っていきます。減ったギアの歯は痩せて欠けやすくなり、もし欠けてしまうとミッション内部に大きなダメージを与えます。
走行距離の伸びた車、長年乗り続けた車に起こりやすい故障原因です。
ほぼメンテナンスフリーで故障の少ないATミッションですが、部品の経年劣化を防ぐことはできません。
そして万が一故障してしまった場合、その際の修理費も高価になりがちなため、「ATミッションの寿命=車の寿命」となる事が多くなります。
ATFの不具合
ATF(オートマチック・トランスミッション・フルード)いわゆるミッションオイルの不具合も故障の原因になります。
具体的にはATFの汚れ、油路の詰まり、油面の低下(漏れ)によるものです。
これは古い車もそうですが、メンテナンスを怠った車に起こることが多い原因です。
ATFの汚れについては、上記で説明したスラッジがATFに混ざることで起こります。
ATミッション内部は細かい油路が張り巡らされていて、汚れたATFがそこを通ることで徐々に汚れが溜まっていき、やがては詰まってしまいます。
人間に例えると、どろどろの血液が血管を詰まらせて脳梗塞を起こすのと似ています。
こうなるとATFの油圧によって動作、制御されているATミッションは、正しく機能せず故障することになります。
また、オイル漏れによるATFの油量の低下でも油圧が足りず同じく故障することがあります。
これは油圧だけではなく、ATFはギアの潤滑や冷却も行なっているので、油量が足りなくなることで異常な加熱からギアの焼き付きにもつながります。
無理な運転によるダメージの蓄積
自分では気付かない運転の微妙な癖が、車にダメージを与え続けていることがよくあります。
急発進や急停車、無理なシフトチェンジなどを繰り返しても、ミッションにとっては大きなダメージとなります。
前述の経年劣化などと合わさり、溜まったダメージがシフトチェンジをきっかけにギアを破損させ故障につながることもあります。
ダメージの蓄積も経年劣化と同じく、防ぎ切れない故障の原因といえるので、やはりATミッションに何かしらの故障が見られたときは、車の寿命ともいえます。
【場合別】ATミッションの修理交換の相場・目安
理由はともあれ、もしATミッションが壊れてしまったら?
修理や交換にかかる費用をまとめてみました。
ATFを交換で済む場合は数千円~数万円かかる
最も安く済むATFの交換の場合は、5千円〜3万円ほどが相場です。
ですが、長い間ATFの交換をされてこなかった車ではATFの交換を断られる場合もあります。
これはATFをミッションから抜くときに、一緒に流れ出た細かい鉄粉やごみが油路をふさいでしまい、ミッション内部が完全に壊れてしまうことがあるからです。
一般的には、4万キロ以上ATFを交換していない車は交換不可能と言われています。
また、車種によってはATFの交換自体を推奨していない事もあります。
ですので、ATミッションの故障かな?と思ったら、オイル交換などは自分でやらず、まずはお店の方に相談することをおすすめします。
オーバーホールをする場合は20万円以上かかる
上記の理由からオーバーホールを勧められた場合、20万円ほどの予算を見ておきましょう。
オーバーホールとは、エンジンやミッションなど複数の部品が集まったパーツを分解清掃し、同時に内部部品の交換を行う事を言います。
つまり、壊れたATミッションを車から降ろす工賃、オーバーホール自体に掛かる工賃、交換するミッション内部の部品代などがその内訳となります。
そのため大がかりな作業になるので、部品代だけでなく工賃も高額になりがちです。
ATミッションの交換をする場合は100万円を超えることも
それなら新品のミッションに載せ替えた場合は?
多くの場合はオーバーホールより高額になると思います。
ATミッションは精密機械と呼べるほど繊細な部品です。
そのためATミッション自体が高額になり、工賃は抑えられても結果的に高くついたという事になるかもしれません。
修理費用をなるべく安くする方法
そんな高額なATミッションの修理を「少しでも安くしたい!」ですよね。
ここでは、修理費用を安くする3つの方法という場合の方法をご紹介します。
整備工場に依頼する
当たり前ですがここはプロに作業を任せることになると思います。
そうなるとディーラーか近くの整備工場、どちらが修理費用を抑えられるでしょうか?
費用の面で見た場合、やはり整備工場に修理に出すことをおすすめします。
ディーラーで使われる修理部品はメーカー純正部品で価格は高めですし、修理よりも交換を勧められることもあります。
その点、車の修理を専門で行なっている整備工場では、直せる部品は修理して、交換部品も社外パーツで価格を抑えるといった相談に乗ってくれます。
また、近くに複数の整備工場がある場合などは、予め提示された価格表などを見比べて選べるメリットもあります。
リビルド品を使用する
リビルド品とはあらかじめオーバーホールしてある中古部品のことです。
ATミッション自体の交換を考えた場合はこちらをおすすめします。
ATミッションのリビルド品は、ミッションケースこそ中古の使いまわしですが、内部のギアやクラッチ盤を新品と交換してあったり、ケース内を清掃をしてあったりと、機能は新品のミッションと変わりありません。
ですが価格は中古の再生部品という事で、新品よりも安く手に入ります。
一般的な車種ならメーカーが在庫していることも多いので、修理の際に車屋さんに相談してみてはいかがでしょうか。
修理をするかは車の価値で判断
この様に、ATミッションの故障となると「高額な費用を払って修理をするか」、「この機会に車を乗り換えるか」悩むところですよね。
そういったときは車の価値を基準に考えてみてもいいかもしれません。
50万円の車の修理に20万円掛けるのと、200万円の車に20万円掛けるのとでは意味が大きく変わってきます。
そこで、修理か売却かの判断基準について詳しくご説明していきます。
車両価値が高い車は修理してもOK
「買って日の浅い車が壊れてしまった」
「旧車や限定車など希少価値のある車が壊れた」
こういった場合は修理をして乗りつづけることをおすすめします。
買ったばかりの車なら、残った車検がもったいないという事もありますし、なにより乗り換えもまだ先に考えていた事でしょう。
今後数年乗り続けることを考えても、買い替えるよりは安くつくと思います。
また、旧車の人気車種であればなかなか相場は崩れませんし、乗り換えを考えたときそれなりの価格で売却できます。
希少車を長く乗り続けることを考えても、ATミッションであれば二度目の故障はないと言えるでしょう。
修理時期がわかっていれば、乗り換えの時の査定でプラスになる事もあります。
低年式で修理費用が高額な場合は微妙
逆に、低年式で売却時の査定価格が低い車では、あまり修理はおすすめできません。
長く乗られた車は、車体全体に損傷が広がっているので、オーバーホールでも載せ替えでも、交換する部品点数が増え修理費用がかさむことになります。
あまりに古い車では部品が供給されておらず、交換までに時間が掛かったり、部品自体が高価になっているケースもあります。
また、せっかく修理した車でも、別の個所の故障が続けば後悔することになるかもしれません。
つまり、低年式の車でATミッションが壊れるという事は、その他の部品の劣化具合も考え、車の寿命が近づいている=車の乗り換え時期ともいえます。
修理が高額になるなら車を手放す選択肢も
車が故障した時、ほとんどの場合は修理に出すことを考えると思います。
ではそれが修理費が高額なATミッションだったら?
「修理して乗り続けた場合の売却価格」または「故障車の売却価格と新しい車の購入費用」を考えたとき、車を手放し乗り換える事も視野に入ってくると思います。
ATミッションはエンジンと並び車の主要機関です。故障した場合の修理費も高価になりがちで「ATミッションの寿命=車の寿命」とも考えられます。
低年式車に多い故障原因なだけに、税金などその後の維持費を考えても手放す方がお得な場合が多いのではないでしょうか。
まとめ
ATミッションの故障は、ほとんどの場合が部品の経年劣化によって起こります。これは走行距離の伸びた低年式車ほど起こりやすい故障ともいえます。
そして、その修理費は高額になりがちで、売却価格の低い低年式車を修理に出すときは、充分に検討することをおすすめします。
ポイントは
- 修理費用と売却価格のバランス
- 車の寿命やその後の維持費
- 乗り換えのタイミング
これらを考えたときに、場合によっては車を手放した方がお得になる事もあるでしょう。
ATミッションに限らず、愛車が故障した際の参考にして頂ければと思います。
また、修理費用が思った以上に高くついたならば廃車買取業者に相談するのも1つの手です。
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