戸籍内の全員が婚姻・離婚・死亡・転籍などにより除籍された場合、戸籍とは別の形で情報が記録されます。これを「除籍簿」といいます。
この除籍簿内全員の情報を記載した書類を「除籍謄本」といい、特定の1人の情報を記載した書類を「除籍抄本」といいます。
本来、戸籍内の一部の人が除かれている状態の場合、「除籍」ではなく「戸籍」となります。
しかし、実際には死亡や婚姻による氏名変更を証明するため、1人でも「除籍」の記載がある「戸籍謄本・抄本」を「除籍謄本・抄本」と呼ぶ場合が多いようです。
通常の廃車手続きにおいて、「戸籍(除籍)謄本・抄本」は必要ありませんが、次のような場合に該当する普通自動車の廃車手続きには必要となります。
軽自動車の場合は、下記に該当する場合でも原則「戸籍(除籍)謄本・抄本」は必要ありません。
氏名の変更がある場合
普通自動車を取得した後に、結婚や離婚等により苗字を変更した場合や、なんらかの事情により名(一般的に言う下の名前)を変更した場合に「戸籍(除籍)謄本・抄本」が必要となります。
基本的に、自動車検査証に記載された情報と印鑑登録証明書に記載された情報に相違がある場合、同一人物である証明として情報を繋げる書類が必要となります。
戸籍謄本・抄本や除籍謄本・抄本は、氏名が変わっていても同一人物であることの証明となるのです。
なお、この場合は車検証上の所有者の氏名変更さえ証明できれば良いので、必ずしも戸籍内の全員が記載された「戸籍(除籍)謄本」である必要はありません。
苗字の変更については、所有者にあたる人の欄の従前戸籍に、旧姓の筆頭者が記載されていれば「謄本」でも「抄本」でも構いません。
また、名の変更については、所有者にあたる人の欄に「名の変更」という項目に以前の名が記載されていれば「謄本」でも「抄本」でも手続き可能です。
車の所有者が亡くなった場合
自動車検査証上の所有者が亡くなった場合、基本的には亡くなった人の名義のまま廃車手続きすることはできません。
相続権のある人の中から、代表相続人を選定し、その代表相続人の名義へ変更した上で廃車手続きを行う必要があります。
「戸籍謄本・抄本」は、本籍を置いている市区町村の役所、または出張所の窓口で取得します。
「除籍謄本・抄本」の場合は、以前本籍地を置いていた市区町村の役所、または出張所の窓口で取得します。
「戸籍謄本・抄本」は、マイナンバーカードがあれば、コンビニエンスストアのマルチコピー機から発行することが出来ますが、「除籍謄本・抄本」は、現状マイナンバーカードを用いてのコンビニエンスストアでの取得はできませんのでご注意ください。
また、本籍地が遠方の場合は郵送による取得も可能です。
市区町村によって郵送による取得方法が違う場合があるので、まずは電話や市区町村のホームページで確認するとよいでしょう。
戸籍(除籍)謄本・抄本の具体的な取得手順
本籍を置いている、または本籍を置いていた市区町村の窓口で、「廃車手続きをしたいが、氏名の変更を証明する書類が必要」であることなど、目的を伝えると良いでしょう。
本人もしくは同一戸籍の人、直系親族(祖父母、両親、子、孫等)の人が役所の窓口で取得する際は、窓口へ行く人の本人確認書類(運転免許証、健康保険証等)が必要です。
直系親族の人が取得する際に、戸籍に記載されている人との関係が確認できない場合は親族関係が確認できる資料(請求者の戸籍謄本等)の提示が必要な場合があります。
気になる場合は、窓口へ行く前に役所へ電話で問い合わせましょう。
また、代理人が役所の窓口で取得する際は、代理人の本人確認書類(運転免許証、健康保険証等)のほか、委任状(本人から委任されたことがわかる書類)が必要です。
取得するためにかかる費用の目安
「戸籍謄本・抄本」を市区町村の役所の窓口で請求した場合、手数料は1通あたり450円です。コンビニエンスストアを利用した場合も同額です。
「除籍謄本・抄本」を市区町村の役所の窓口で請求した場合、手数料は1通あたり750円です。
こちらはコンビニエンスストアでは取得できません。
いずれの書類も、本人が取得した場合でも代理人の場合でも金額は変わりません。
また、郵送による請求の場合も基本的には窓口で請求した場合と同額ですが、市区町村によっては金額が変わる場合もありますので、市区町村のホームページや電話で確認しましょう。